TEAP連絡協議会②立教大学松本茂先生の講演を聞いて

TEAP連絡協議会に参加した報告の続きです。

本日は立教大学の松本茂先生の講演の感想を中心に報告します。

この講演を通じて、改めて英語教育とは何だろうと考えたことと同時に、立教大学の良さと課題を実感しました。

講師の松本先生はNHKテレビの「おとなの基礎英語」の講師もされている英語教育界では大御所中の大御所。

実は初めて講演は聞きましたが、やはり素晴らしい講演でした。

立教大学での外部試験の導入の目的は2つ、大学自信のグローバル人材の育成という高い志と、我々高校で4技能を指導している中高の教員に対する寄与だそうです。

前者はどの大学もアピールしますが、後者の我々高校教員への配慮を伝えてくださる大学は初めてのように思いました。

立教大学の導入の特徴は、全学部入試の採用方法で、全学科採用テストも基準も統一であるという点でしょうか。

さて、前者のグローバル人材育成の点に関して言うと、この数年留学先からのIELTSの点数等に対する基準がかなりシビアになっているそうです。

今までは若干英語力が足りていなくても、交換留学協定が結ばれていて大学側からのきちんとした推薦理由があれば受け入れ可能だったところが、この数年はきちんと点数に対してシビアになったそうです。

それだけ英語力のある学生が増えているからでしょうか、それだと嬉しいですね。



また日本に留学しにくる学生の変化も大きいそうです。

昔は日本に留学=日本語を学びに来るという学生が多かったそうです。

それが今では全く日本語を話せない状態で、あくまでその学問を学びに来る学生が大幅に増えたそうです。

あくまでその学問を学ぶ環境として日本の大学を選んでくれているのだから、当然英語で講義をしていく割合を増やしていかなければいけませんね。



また、後者の中高の現場の教員に対する寄与ですが、大学側からしても切実な問題だそうです。

なかなか大学入学から2年間だけで、話す力や書く力を伸ばすことの難しさ。

可能な限り中高からずっと4技能を指導していてくれると大学入学後に指導する必要性が減ります。

究極の目標は大学で英語という授業がなくなることだそうです。

高校までに英語力を十分に付けた学生が、英語「を」学ぶのではなく、英語「で」学ぶような時代が来ることを目標にしているそうです。

その通りであるべきだと思いました。

立教大学では外部試験の導入方法として、出願要件という方法を取っています。

つまり出願するためには外部試験で何点以上のスコアが必要と言う方法です。

この理由は2つあり、レベルはCEFRのB1に設定しています。

理由のひとつ目は大学側が設定しているアドミッションポリシーとの合致という点からも、高校までに十分に4技能を鍛えて入学し、大学2年間で留学準備を整えられるようにしたいそうです。

理由のもう一つとして、入学選抜そのもののに対する改革の第一歩という意識があるそうです。

1点刻みで合否を決定している現在の制度や、そこに英語の点数が活用されていることに違和感があるそうです。

大学で学ぶための能力が十分にあるか?を測定するのだから、国際標準である最低基準方式を取るべきとのことでした。

長年にわたり語られているテーマですが、中々日本からこの「ちょっとでも偏差値の高い大学に入学する」競争がなくなることは難しいかもしれませんね。


さて、出願基準をCEFRのB1に設定した理由は、大学在学中に留学に必要なレベルであるB2レベルまで引き上げることが可能なレベルだからという理由だそうです。

また英検に関しては、ライティングが導入される平成28年4月以降のものに限定し2級でも利用可能になるそうです。




さて自分が感じた課題ですが、やはり入学定員に対する割合の問題が一つあります。

外部試験を利用する入試が、自由選抜入試というAO入試にあたる実質専願入試のようなものや、帰国性入試や指定校推薦、付属高校の入試など特殊な入試を含めて定員の50%を2019年度に達成するそうです。

正直50%という数字を聞いて素晴らしい、と思っていましたが、いわゆる一般入試での活用機会はかなり限定的で、それ以外の選抜方法が中心だと初めて知りました。

自分がイメージしていたような、外部試験を一般入試で活用して、試験前は英語以外の教科に専念して入試で有利になる、という生徒へのお得感というか旨みはなさそうです。

9割以上が一般入試の本校のような学校では、まだまだ活用は難しいかもしれませんね。

こちらの勝手な思い込みですが、それにしてもガッカリしてしまいました。

また、立教大学で外部試験を利用した生徒の8割がTEAPを、1割が英検を利用したそうです。

立教大学はGTEC CBTも利用可能で、その点に関しては素晴らしいと思うのですが、現実は9割が英検協会の寡占状態のようです。

これに関してはやはり大きな問題があると改めて思います。



全体的に立教大学という大学に対する印象も高まった講演でした。
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Commented by まつもとしげる at 2016-06-25 19:58 x
shun-senseiへ

小生の話を上手にまとめていただき、ありがとうございました。一般入試における4技能試験の活用の比率が小さいとのご指摘、まったくその通りです。徐々にではありますが、比率をあげていくようにします。

これは個人的な意見ですが、一発勝負の一般入試そのものの比率を下げていくことが、高大接続の視点からもよいと考えております。

引き続きよろしくお願いいたします。

松本
Commented by shun-sensei at 2016-06-26 09:00
コメントありがとうございます。先生のおっしゃることはどれも正論で、真剣に英語教育の未来を考えてくださっていて、たくさんの刺激とヒントをいただきました。これからも先生の活躍を楽しみにしています。
by shun-sensei | 2016-06-25 17:45 | TEAP, GTECなど4技能外部試験 | Trackback | Comments(2)