2016年 10月 01日
1つの単元の授業のデザイン方法1単元の最終目標アウトプットを決めようそれぞれの先生が一生懸命授業をされていましたが、その後の検討会での質問に対する答えを聞いていると考えさせられることがいくつかありました。
1つ1つの活動にどのような狙いがあるのかを明確にすることの大切さ。
その際、教科書を開いて行うか閉じて行うか、ライティングでやらせるかスピーキングでやらせるか、個人てやらせるかペアでやらせるかグループでやらせるか、立ってやるか座ってやるか、見本はどの程度見せどの程度口出しするか・・・。
あげるとキリがありませんが、それらの1つ1つの工夫次第で活動がうまくいくか失敗するか、その活動で生徒が成長するかどうかが大きく変わることも多いです。
だからこそ、自分の授業を見てもらうことで自分の気がつかない視点から自分の授業を見つめ直せます。
人の授業を見ることで様々な視点を自分の中で身につけられます。
その視点を広げることで、授業内の活動の意味を考え、生徒にとって最大限の効果が引き出すような活動を設定することができるようになると思います。
授業研究系の研究会や学会にはそのような意味での授業力をつける大きなチャンスがあるのでしょう。
さて、それらの研究会で改めて教科書を用いた授業の作り方みたいなものをまとめ直してみようと思いました。
特に英語で英語の授業をどのように行うかを迷っている若手の先生が参考にしてくれたらと思います。
また東京都の教員採用試験における単元別指導案の作成にも役立つと思いますので参考にしてもらえたら嬉しいです。
まず、教科書のある単元を読んだら徹底的に繰り返し読んでみてください。
様々な背景知識も調べると良いでしょう。
また、文の裏に隠された事実、疑問などがあったら必ずメモをしましょう。
きっと生徒にも考えさせると面白い発問が色々と隠されていると思います。
例えばある研究会では生徒にも考えさせるような推論発問を大切にしていると発表された先生はおっしゃっていました。
その姿勢には大賛成なのですが、その先生自身の教科書の読みの浅さがとても気になりました。
ある一文が非常に大きな意味を持ち、その一文の本当の意味を教員が見落としてしまっていました。
結果的に生徒は深い読みをする機会を失い、非常に表面的な内容について考えるにとどまっていました。
ある生徒がその事実に気がつき授業内で発言するのですが、それは面白い意見ですね、とそのままスルーしてしまいました。
このように教師が教科書を読み込む際、ただ表面的な内容を読むのでなく、また文構造や文法ポイントばかり考えて読むのではなく、内容面での奥深い読みを心がけてみてください。
私も2〜3年前まではまったくできていませんでした。
いつも文法や構文、語彙のポイントばかり考えながら教科書を読んでいました。
表面上の字面から読み取れる以上の読解は不要と信じていました。
だから教科書ってつまらないなぁといつもボヤいていました。
教員の教材研究の深さで教科書はつまらないお話にも生徒の思考と知的好奇心を刺激する作品にも大変身します。
そして次に各時の授業を考える前に単元の指導計画を考えます。
最後にどのようなアウトプット活動を行うか。
あるいはこの単元を終えたらどんなことができるようになっていてほしいか。
英語は実技教科で総合的な力が重要となるため、中々1単元だけでは大きな実力の変化は想像できないと思います。
ただ、アウトプット活動としてこんなことを最後にできるようにさせたいというイメージを持ち教材をもう一度読んでみると良いでしょう。
アウトプット活動にはどのようなものがあるでしょうか?
よく見かけるのが、サマリーをスピーキングで行ったりリテリングやリプロダクションを行うというものです。
それを少しオーセンティックにしたものとしては、登場人物になりきって、とか、小さな子どもに説明するとして、などの状況設定をするものも見かけます。
この活動自体はとても有効な場合がありますが、いつもこのような活動では生徒も飽きますし、必ずしもベストではないことも多いと思います。
そこでアウトプット活動のレパートリーをもっておくと様々な面白いアウトプットも思いつくことでしょう。
例えば、説明文を対話文にするパターン。
人の一生を紹介するような本文の場合、本人にインタビューしたとしてそのインタビューのやり取りを書かせるライティングのアウトプットや、それを原稿にしてスキットで行なわせるアウトプット、あるいは教員がインタビュアーになりきって即興的に答えさせるようなアウトプットも考えられます。
このようにコミュニケーション場面をなるべく自然な形で、そして教科書本文を活用させるような工夫をしてアウトプットをさせるようにできます。
あるいはノンフィクションのお話のような場合は、ニュースの特番のレポーターになりきってそのお話を視聴者に伝えるというアウトプットが考えられます。
プレゼンテーションソフトを利用して画像などを使ってリポートすることも考えられます。
雑誌の記者になりきってリポートを書くということも考えられますが、元々の本文がそのような形式なので教科書を開いた状態では少し生徒にはやりにくい活動となるでしょう。
評論文では、異なる具体例を調べて本文を少し書き換えるアウトプット活動が考えられます。
あるいは商品を売り込むプレゼントーションを行う、などのアウトプットが考えられます。
その内容に関連した動画を見せて関係者に手紙を書く、というようなアウトプット活動も考えられるでしょう。
あるいは関連した別のグラフやデータを与え、その考察をエッセイという形で書くことも考えられます。
教科書の題材により、本当多種多様なアウトプット活動が考えられます。
それがライティングなのかスピーキングで準備したものなのか即興的なスピーキングなのか。
どのようなオーセンティックな設定をしてあげられるか、またその設定がどのようにいきるのか。
対話形式なのかモノローグなのか。
どの程度準備期間を与えるか、また教科書本文をどのように生かすか。
その活動をすることで教科書がどのように生きるのか、単なる内容つながりの全く異なる英文をアウトプットさせる活動は非常にレベルの高い活動というか、すでにある程度の英語力を前提とした活動になるでしょう。
1つ1つの要素を考え、単元の大きな最後のアウトプットを決めてください。
そのアウトプット活動に向けて何時間の授業を確保し、どのように分担するかを考えます。
今日は単元の最終目標のアウトプット活動について確認しました。
単元末のアウトプット活動がさだまることで1時間1時間の授業の目標が変わってくると思います。
どの程度教科書をインテイクさせるか、どのような推論発問を投げかけるか、どの程度背景知識を紹介するかも変わってくるでしょう。
全ての授業はこのような単元の最終ゴールを設定することでまず始まります。
そして贅沢を言えば、なるべく時間のある長期休業中などにある程度の各単元の最終ゴールを考えておきたいところです。
ある程度のレパートリーが欲しいですし、偏りすぎないためにも事前に色々と考えておきたいものです。
次回は、単元のアウトプットが決定した後の授業デザインについて書きたいと思います。
英語で英語の授業を行いながら、(いわゆるオールイングリッシュ?)生徒に受験でも通用する英語力をつけさせる。
そのために自分が実践している授業デザインの方法、何か新しいアイデアなどがあれば教えていただけたらと思います。