私立以上か~都立三鷹中等教育学校の取り組み~

ベネッセの中高一貫校指導研究会に参加をしてきました。

テーマは「なぜあの学校は伸び続けるのか」です。

私立の広尾学園と都立の三鷹中等が発表をされましたが、とにかく三鷹中等の取り組みが衝撃的でした。

今日はその取り組みを紹介したいと思います。



三鷹中等はいわゆる都立中高一貫校の中では最後にできた4校のうちの一つです。

南多摩、大泉、富士、三鷹といわゆる地区のナンバー2,3の都立高校が中高一貫化されました。

その中でもこの三鷹は最寄駅からバスで20分という悪条件。

都立高校であれば自転車で通学をするのでしょうが、中学生の保護者からは敬遠されたのでしょう。

1期生は都立中高一貫校では最下位の学力だったそうです。

また自己肯定感の低さや、学校や授業に対する期待も少なく、学校一丸となっての取り組みが始まったそうです。

その中でも今回発表された進路主任が中心となり、様々な先進校を視察した結果現在の形を作り上げる計画が始まったそうです。



根本となる考え方が、分掌主体の進路主導です。

都立高校はどうしても昔ながらのやり方である学年主体の行い方が色強く残っています。

しかし都内や他府県の進学校で成功している学校でそのような学年主体のやり方を行っている学校はなかったそうです。

そこで三鷹でも分掌主体の指導を行うことになりました。

これは我々の学校も同様に抱えている悩みの一つであったため、非常に参考になる事例でした。



さて、具体的に行ったのが三鷹スタンダード委員会の設立。

各学年主任と教科主任で構成され、年8回会議を行ったそうです。

また各模擬試験ごとに分析会なども実施し、成績の上がり下がりに対しても非常にシビアに見合うようにされました。

これをもとに、具体的な授業改善や放課後補習、生徒への面談などを行うよう依頼したそうです。

特に年3回各学年の各教科に自己分析と目標のようなものを作成させ、最終の進学実績から逆算させ課題点を報告するようにさせたそうです。

この報告形式が常套手段の一つでもあり、また難しいところで、ベテランの先生が多いとなんとなくそれっぽく書いて提出しようとする先生が大勢います。

ここは推測なのですが、都立の中高一貫校は年齢構成が非常に若く、二校目の先生が多いようなので、このような方法は非常に有効かと思われます。



また地方の公立進学校がよく行う方法の一つである校内実力テスト(自校作成)を赤本研究後に作成させ、中学生から高校3年生に実施しているそうです。

高3が2次試験レベル、高2がセンターレベル、中学から高1が宿題確認テストなのだそうです。

このような問題作成を行わせることは教員に受験を意識した指導を求める一つの有効な方法だと思われます。

多くの高3を教えていない教員は、毎年センター試験くらいにしか目を通さないのが実情です。

実際前任校で最新の入試問題をプリントアウトして英語科準備室に毎年置いておきましたが、毎年見た形跡があるのは3年生を指導している一部の先生に限られました。

また「私立大学では和訳は出ませんから」、と何十年前ですか?と思われる発言をしている先生もいました。

まずは解くきっかけを一つ作るだけでも非常に有効なところ、さらにそこから問題作成まで指示しているのが素晴らしいですね。



また、中学生は月曜日は部活動禁止日とし、放課後に講習を行っているそうです。

7,8時間目に自分が苦手とする教科に全員参加で行い、さらに土曜の午後にはチューターと呼ばれる大学生による補習サポートも行います。

また、中学1,2年次からベネッセ特有の指標であるGTZを意識させ、自分のGTZが下がったら、クラスの他のみんなのGTZの分布がどのようなものかを意識させるようにされているそうです。

なかなか中学校前半から大学を意識しづらいので、このような方法で意識を高めているのかと参考になりました。

特に中学の前半の生徒くらいの感覚だと、とにかく目に見えるGTZを下げずに上げようという方法で取り組ませるのは上手な方法だと思いました。

当然教員側も細かい分布分析から対策の報告を求められ、講習や授業等で工夫を行い、何とか前年度に負けないくらいの状況を維持することが求められるよう。

しかもそれが単独で担当者に対して行われるのではなく、教科会に一度かけて話し合い、教科で対策を行う点が素晴らしい点だと思われます。



中3から高1にかけての中だるみ期に対する指導は、保護者と本人への意識付けが中心です。

一般的な傾向や、地方の県立高校の時間割を紹介し、以下に授業+さらに何かが必要かを説明されるそうです。

また月曜日の全員参加の講習に加え、火曜日~金曜日の部活動がない曜日に80分の放課後補習を実施しています。

自分のスケジュールは自分で管理をさせ、欠席や委員会等とバッティングした時は別の曜日への参加を強制するそうです。

こちらは月曜の基礎的な内容とは異なり、応用型の講習のようです。

また自習室デビューもさせ、関東大会やインターハイに参加する生徒なども、18:30に部活動を終え、19時から講習に参加をさせたり次週を行うように指示をしているそうです。



また高1の夏には全員参加の2泊3日の勉強合宿を行い、1日10時間以上を目標に講義中心で講座を受けさせます。

さらに高2の12月にも同様の全員悉皆の勉強合宿を行いますが、こちらは自習メインで自主力をつけさせます。

またセンター試験同日模試も全員悉皆となっており、これを目標に勉強合宿で次週に取り組むのだそうです。



高2の1月から3教科+理社1の意識を高めさせ、早めに理科社会を1教科取り組ませます。

こう3になる際には第一志望宣誓書を発行し、生徒の意識を高めます。

こう3夏には合計68講座の夏期講習を開催します。

そして全教職員参加の志望校検討会を行い出願指導へとつなげます。

一人一人の生徒の国公立大学への最後の後押しや底力を確認し、組織的に指導を行うようです。

もちろん4月、7月、12月にもケース会議を行います。



国公立大学にこだわりこだわらせ、進路通信を含めた情報発信をし、さらに進路集会を開催します。

校長先生は全3年生の面接を行い、全生徒の状況を把握します。

このような校長先生だからこそ先生方もついていくのでしょうね。




勉強だけではありません。

伝統文化教育推進校として、とても豊富な校外学習を行っています。

またグローバル10の一員として、海外修学旅行や海外ボランティア研修、次世代リーダー育成道場に参加をさせています・

ICTパイロット校として中学生全員にタブレット端末を貸与し、Classiも導入を行っています。

国語かを中心とした論文指導やとにかくやれることは何でもやる印象です。



そして、校種は7時間目から9時間目まで存在し、最後の講座が19:00~20:30まで実施されます。

校長先生自身がご自身の教科を指導しています。



都立高校時代は、言葉は悪いですが生ぬるく、のんびりした雰囲気でやりたいように暴走をさせてもらいました。

その暴走時代に行っていたことを学校として組織的に行っている都立学校があることに驚きました。

このような取り組みが実践できているのは、今回発表された進路主任と校長先生自身が先陣をきって次々と取り組んでいらっしゃるからでしょう。

前半の私立の印象が完全薄れ、逆に都立の方が魅力的に感じてしまうのは意外でした。




ただ、実際に三鷹に異動をした知り合いに聞くと、みんながみんな同じ方向を向けているわけでもないようです。

それにしてもとてもインパクトのある発表でした。

しかしこの進路主任と校長が変わると、一気に学校自体が変わってしまうから怖いのですよね、都立は。

我々も負けていられません!!と思わされる発表でした。

[PR]
トラックバックURL : http://shunsensei.exblog.jp/tb/23543461
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
※このブログはトラックバック承認制を適用しています。 ブログの持ち主が承認するまでトラックバックは表示されません。
by shun-sensei | 2017-01-21 17:12 | 中高一貫校職場関係 | Trackback | Comments(0)