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TEAPセミナーin東京 安河内先生の講演を聞いて

あの有名な東進ハイスクールの安河内先生もこのTEAP作成に関係しているようで、セミナーの最後はこの人の講演でした。

まずつかみはマスコミの方々に向けて

最近取り上げられている作曲家ではありませんよ

と何ともリアクションの取りにくいスタート(笑)


まずは現在の学習指導要領と大学入試の現状について。

学習指導要領では、
・4技能を統合的に活用できるコミュニケーション能力を育成する

・訳読や和文英訳、文法指導が中心とならないよう留意し・・・

などと書かれているが、

現在の大学入試では、

読解・和訳・文法・語彙問題が全体の8割以上
リスニングは2パーセント以下
スピーキングはほぼゼロ


という現実を紹介。



また、中上位の進学校ではあるが、1319名の高1.2生の

半分近くが入試のために英語を学習している

4割の生徒が学校の授業で受験対策を中心に行っている現実を紹介されました。



まさに自分が感じている苦しさ、つらさを表現してくださり、それだけでも心を掴まれました。

そして文科省の役人や大学の先生達がいかに現場を分かっていないかも安河内先生の話を聞くと改めて思わされました。



そこで、安河内先生から提案されたのが実に現実的で実現可能性を感じられるものでした。



大学という場所は教授会や様々なしがらみがあるところで、何かを変えるのはとても困難を極めるそうです。

If you want to make an enemy, try to change something.

この四年間の自分の仕事のことを思い出すと、何とも心に響くお言葉でした。



確かにどの大学の英語教育などの関係の先生方は四技能のバランスの大切さを強く説かれます。

それなのにその先生自身の大学入試の問題は四技能のバランスがめちゃめちゃです。

そして、我々が大学入試と高校現場の苦しみについて研究会などで質問をすると、

入試を目標に英語を勉強するのはやめましょうよ
入試を言い訳にするのはやめましょうよ
最近は入試も変わってきていて、十分に対応できますよ

とどれもはっきりいって開き直りや言い訳をされます。



つまり、それだけの強い思いを持っている先生方をもってしても、大学入試の英語の問題を変えることはまだまだ難しいということなのでしょう。




そこで安河内先生の提案です。


それは現在の入試は現在の入試のまま残し、TEAPのような四技能のバランスが取れた外部試験を入試で活用できるようにする案です。

つまり、一部の定員でいいので、TEAPである一定以上の点数を二年以内に取得した生徒は、英語の試験はみなし満点にするという案です。

そうすることにより、英語を四技能のバランスを取って勉強した生徒がきちんと評価されるシステムができます。

その目安ですが、難関私立大学だとTOEFL iBTで90点以上、実用英語検定1級くらいとかなり高いレベルを求めるそうです。




その際注意すべきポイントがあります。

一つは、必ずスピーキング、ライティング、リーディング、リスニングそれぞれ何点以上というラインを作ることです。

そうしないと、必ずテクニックで点数だけ上げる生徒や指導者が登場してしまうとのこと。



さて、このような制度を導入することで、学生側には大きなメリットができるので、四技能のバランスが取れた勉強にチャレンジする生徒も増えます。

なんせ早い段階で英語の勉強が終わり、他の教科の勉強に集中できるのですから。

また、大学側にとっても、きちんと他の教科の勉強も求められるし、さらに言えば入学後の能力などの追跡調査が可能です。

そして、何より留学に向けてきちんと英語力のある生徒が入ってくるので、入学後にライティングやスピーキングを徹底的に指導する必要性もなくなります。


まずは定員の一部など少数でいいのでやってみて(自分は定員5名スタートでも十分だと思います)、その生徒達の追跡調査を経て少しずつ広げていけばいい。


素晴らしい現実的な実現可能な案ですね。


自分達で四技能の試験をするのが難しいのだから、それを外部試験という形で利用する。

しかしTOEFLははっきりいって高校生には難しすぎる。


現在の高校生のTOEFLの平均点は30点くらいだそうです。

旧帝大以上の合格者でも平均は50点くらい。

またTOEICはもちろん高校生や大学生には不要な在庫管理や系列会社などの単語が出てくる。

そこでTEAPじゃなくてもいいから、何か外部試験を用いて、四技能のバランスが取れた生徒が大学入学に向けて余計な勉強をしないですむシステムの構築をしてほしいということでした。

If we think we can, we can.
If we think we can't, we can't.
So believe we can.

という言葉で講演を締めくくりました。


外部検定試験についての知識や自分が現場にいて感じる難しさを的確に表現されていて、さすが一流講師だと感心しました。

英検主催のTEAPでもベネッセ主催のGTECでも何でもいいので、今の大学入試とは異なり、きちんと四技能の力が評価される入試に変わって欲しいですね。
by shun-sensei | 2014-03-11 18:01 | 英語教育