2016年 07月 09日
TEAP連絡協議会④パネルディスカッションを聞いてTEAP連絡協議会の報告の最終回です。
最後は会場の先生方から集めた質問に対して色々と講師の皆様に語るという時間になりました。
まず初めの質問が2020年にセンター試験に変わって新しく導入される新テストに関して。
英語としては4技能を計る試験を導入すると言われているがどうなのかという質問です。
文科省の方によると現在実現可能性も含めて議論が行われ検証が実施されていそうです。
もちろん一番の問題点はスピーキングの試験の実施可能性でしょう。
ライティングもまだまだ採点面などで課題はたくさんあると思います。
また民間との連携をどうするかの点においても、まずは両極端を紹介されていました。
片方の極端が、すべてを現在のセンター試験のように独自で実施すること。
そしてもう反対の極端として、全てを民間の外部試験に委託してしまうこと、つまり丸投げを紹介されました(丸投げはshunsenseiの勝手な解釈です)。
この両極端に対して、どの程度の位置で実施するか、どこらへんを落としどころとするか、を今年の12月には発表されるとのことでした。
この議論の中で松本先生からは、一部の先生が2技能で十分測定できると言っていることの紹介や、消費税同様に延期と言わないで欲しいと意見を述べていました。
自分の個人的な予想ですが、延期でしばらくは2技能で続けるのかなぁと思っています。
独自での開発は時間的にも難しいでしょうし、外部への委託も可能性はありますがさすがに抵抗があるのではないでしょうか。
ただ文科省の教員研修などの民間への丸投げを見ていると、十分丸投げはあり得るのかなぁと思います。
その際、最近の様々な民間を活用した調査を見ていると、ベネッセが行うGTEC CBTが有利なのかもしれません。
しかしその際も必ずTEAPも選択肢として生徒が選べるようにしてほしいと思います。
つまり2つの試験のどちらかを各自選択して受験する方式にして欲しいと強く思います。
また、上智大学の調査からも2技能と4技能の点数には相関関係がないことが証明されました。
2技能の入試で十分と言う先生はどのような根拠を背景に言っているのでしょうかね。
さて、質問はもっと根本的なものに移ります。
本当に4技能で計ることがは必要なのか?
読む力がこれ以上下がっていいのだろうか?
高校の現場でこれ以上忙しくなるのは困る。
今でもこのような質問がやはり出るのですね。
それに対して、4技能を伸ばすことはリーディング力の軽視ではないというみなさんの意見に強くうなずきました。
どの先生だかメモが残されていませんが、英語力を身につけるのではなく英語を使って何ができるかをこれからは見ていきたいということを紹介されていました。
特に立教大学では大学2年生の英語の授業で、400ページくらいの英語の文献を事前に読み、授業ではそれを英語でまとめたり、議論をしたり、講師からの講義を英語で聞いたり、プレゼンを最後に行ったりしているという松本先生の授業が紹介されていました。
ここで自分自身の授業を振り替えって、少し反省しました。
教科書を授業内で読んで、それをアウトプットに活かす授業で本当に十分なのだろうか。
何だかいつも感じている満たされない感覚がここで明確になった気がしました。
教科書って何なのか、あのレベルでとどまっていていいのだろうか。
今後の課題として、授業をもっと充実させるための策を考えたいと思いました。
さて、また別の方も4技能は必要とはっきりおっしゃっていました。
その理由として、現在という時代は昔と違うことを紹介。
例えばたまに英語を話せないノーベル賞受賞者を例に出して、英語力はそこまで大切でないとおっしゃる方がいるが、それは昔だから可能だったこと。
現在は海外の先生との合同研究は頻繁にあるし、海外の文献を読む必要性や学会での発表、海外の方との会議や学会での発表など、昔とは全く異なることが紹介されました。
昔は英語のアウトプットというとわざわざ海外に行った上で使うものであったが、現代の技術では日本にいながら外国の方とコミュニケーションを取る必要性がしょっちゅうあるそうです。
また、研究室にいる様々な外国人の存在も大きいようです。
今の時代、英語は4技能が使えて当たり前なのでしょう。
また印象的だったのが立教大学の松本先生が大学生を面接していて感じる学生の差のお話です。
留学希望者に対して面接を行う際、やはり英語力の無い学生は「何か英語を使った仕事がしたい」など、英語が目的で終わってしまうそうです。
自分も経歴上何人も見てきました、ただ英語ができることを目的にしてしまっている人たちを。
その度にいつも思っていました、英語ができることなんてそんな大したことではないのになぁと。
それに対して、英語力がある学生は、具体的なプログラムに対して積極的な意見や目的を持つことができているそうです。
ちなみにそのような学生は小さい時から課題解決型の学習を行っていて、中高でもスピーチやプレゼンなどを行っているため、大学生として本当に何をするかに視点を合わせられているそうです。
そのような意味でも、中高できちんと4技能をバランス良く伸ばして欲しいとのことでした。
日々の授業を振り替えさせられるお話でした。
英語を使って様々なものの見方や視点を伝えていきたい。
英語「を」教えるのではなく、英語「で」何を教育するのか。
そのような意味で色々と日々の授業を反省するきっかけとなりました。
またその話につなげて、問題解決力の前に問題発見能力を伸ばす重要性が紹介されました。
受け身に与えられるのではなく、自分自身で課題を発見する力。
日本の学生は自分で課題を見つけることが苦手だそうです。
日頃自分自身が大切にしたいと思う力です。
今ある現実からの変化ということがいかに難しいかは日頃から実感させらることです。
大学の先生方も、4技能入試を導入されるのに様々な努力を重ねていることがひしひしと伝わってきました。
このオリンピックまでの数年が本当の正念場だと思います。
オリンピックまでに大きく変えられなければ、その後の変化は難しいのかなと思っています。
抵抗勢力の圧倒的な数に対して、大学の現場でも必死に戦ってくれているのもとても理解できました。
だからこそ、各社がもう少し協力し合って普及に努めてほしいなというのが一個人としての意見です。
TEAPとGTEC CBTが合同で開催する研究会など皆無です。
ライバル企業、受験生の奪い合いという現実は分かりますが、本当に英語教育が変わらなければどちらの企業も大きな利益のチャンスを失います。
もう少し協力し合って、導入する大学を増やすことなど普及面に力を注いで欲しいと強く思うこの頃です。
TEAPとGTEC CBTの片方しか導入していない大学には、裏側に何かがあると思うのはうがった見方でしょうか。
本当に英語教育の未来、などの言葉を発するのであれば、4技能を計る外部試験はすべて導入してほしい。
それを片方だけ行っている時点で、このチャンスに対して大きな足かせというか、足を引っ張っているという自覚を持ってほしいと思います。
TEAPのみが利用可能でGTEC CBTが利用不可能な大学は本当に改めて導入する意義を考えてください。
IELTSやTOEFLやTOEICよりははるかにGTEC CBTの方が受験生を計る有効なテストだということは明確です。
大人の事情を捨ててください。
英語教育の未来のために、余計な雑念を捨ててほしいと思います。