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大田由香里先生「毎日の英語授業でアクティブラーニングー生徒をアクティブにする仕掛けづくりー」

神田外語大の英語教育公開講座のレポートの続きです。


この講座では最近流行のアクティブラーニングについて理解を深めたいと思い受講しました。

アクティブラーニングは現在流行語のようになっていて、生徒が主体的に学習する方法を指し、多くの授業例では生徒同士がグループなどになって、教師から教わるのではなく、自分たちで学び合う学び方です。

ただ明確な定義があるのでもないようで、色々な誤解もされている部分があります。

英語という教科は実技教科なので、ある意味アクティブラーニングは難しい教科だと思います(定義によっては)。

同時に、定義によってはアクティブラーニングが当たり前ともなる教科だと思います。

そんな中でこの講座ではアクティブラーニングを紹介してくださるとのことだったので、自分の理解を深める良い機会だと楽しみに参加をしました。


結論としては、期待外れというか、想像以上に基本的な自分が普段行っている授業のもう少し消極的バージョンという感じでした。

やはりなかなか訳読からの脱却を超えて様々な実践を行っている先生は少ないのかもしれません。




それでは講座内容をレポートさせていただきます。

まずウォーミングアップとして英語で行うことができるゲームから開始しました。

答えがすでに書いてあって、その質問が何かを予想するゲームでした。

答えは1つに限定、単数複数もこだわって答え合わせを行うという工夫をしていました。

自己紹介をする時に活用したり、前のレッスンの復習に使える活動とのことです。




その後先生方に対して「あなたはいつアクティブになりますか?」という質問が投げかけられました。

ある先生は、このような研究会後に他の先生と色々と話し合って、とてもアクティブになった、知る喜びを感じた、とおっしゃっていました。

その他の受講生の意見としては、スポーツをする時、働くとき、授業、等を述べていました。まとめると何か楽しいこと、興味のあることをする時に人はアクティブになる

生徒に聞くと、好む活動は48%グループワーク、33%ペアワーク、19%個人ワークだそうです。(高校3年48名からアンケート)


続けてあなたの信念は? と問いかけられ、

・言語とは自己表現の手段である
・学ぶこととは知識や技能の習得である
・教えることとは知識の伝達である

という3つの例が提示され、納得しますか?と問いかけられました。




その後preziというプレゼンテーションソフトを使用し、講師の先生が考える英語の授業のイメージが提示されました。

preziで示されたマップを言葉で表現してみたいと思います。

全体の絵としては、太陽と雲があり、その雲から雨が降り、大きな木が真ん中にあります。

また木のふもとには水たまりがあるような絵です。




まず太陽にズームインすると、太陽の周りに4つの言葉が書かれています。

オールイングリッシュ、コミュニカティブな活動、競争、チャレンジングな題材・タスク(ちょうどいいレベルの題材)

これらが書かれた太陽が木を照らしています。


それに対する講師のコメントです。

言語はコミュニケーションのツールなので、英語が授業で溢れるべきである。

授業内くらいしか英語と接するチャンスがないから、教師も生徒も英語を使うべき

レベルの調整の大切さ。 難しすぎると諦めてしまい、簡単すぎては飽きてしまう。

生徒は競争が大好き、他より優れていたいという欲求を活かし、競争をさせる




さて、続けていくつかの雲が描かれています。

その雲が4種類あり、Reading, Writing, Listening, Speakingと4技能を表します。

その4技能の雲から雨が降ってきていて、一つ一つの雨にも言葉が書かれています。



雨は様々なトピックを表します(科学技術、医療、環境問題・・・など)

その雨により、生徒に木が生える



その木には生徒が身につける能力が書かれています。

その生徒が身につける能力とは4観点
コミュニケーションへの態度、情報を理解する力、情報を伝える力、活用する能力
です。


また水たまりが、スピーチ、ディスカッション、ディベート、社会的な活動を英語で行う(SNS、スカイプ、英字新聞を読む)、 など授業で行う活動例です。




このように講師の考える英語教育を一枚のマインドマップで表してありました。





さて、その後講師の先生の勤務校について紹介がありました。

併設型の中高一貫校で、中学から上がる生徒と高校から入学してくる生徒がいる。

中学から上がる生徒たちは先取りを行っていて、中学校時に高校の教科書の半分を終えてしまう。

しかし中学から在籍する一貫生と外部入学生で教科書もテストも異なるため、準備の大変さが大きな課題だった。

そこで分担しようということになり、これがかなり機能したそうです。

また生徒中心、アウトプット活動を普段の授業でもっとやろうということになりました。

これは教員間の授業スタイルの違いに対する生徒からの不満が多数出たためで、まずは各学年担当の英語科教員で集まり、統一をすることになったそうです。


その際課題としてあがったのが、生徒が予習をしてこないという問題。そこで予習前提の授業の限界を実感されたそうです。

ここで講師の先生が予習不要の授業と言うと、ざわめきみなさん驚かれていました。

また他に予習不要の授業を行っている先生はいますか?という問いかけに手をあげたのは自分だけでした。


このようなやる気のある先生方の集まりであっても、このような現実なのだなぁと改めて思いました。



授業モデルは「高校英語授業を変える!」という本を活用して作成されました。

1コマ目、ウォームアップ、オーラルイントロ、内容理解、英問英答→定着活動として音読
2コマ目、フレーズチェックシート、それのペアでの確認、定着活動として音読の、サマリー

と1パートに2時間をかけて活動中心の授業を行うことにしています。

フレーズチェックシートを使用して、教科書の英文全体を覚えるのは大変なので、フレーズならイケるのでは・・・と思いこのフレーズシートを活用して指導されています。

このフレーズを日本語から英語に言い換えられるかを練習します。

各パート、この2時間をワンセットを行い、最後にまとめとして、文法のまとめ、サマリー作成、リプロダクション、などを行うそうです。



予習なしで復習メインの授業を実施されています。

授業内では、訳読なしで、全体像を理解、各パートを手を変え品を変え読む(音読も含めて)工夫をされています。


復習は必ずその日のうちに実施させ、復習ノートで英文を定着させます。

読みながら書けば発音も定着する、何を書くかは生徒の自由、殴り書きでもいいので英語をとにかく書く、フレーズチェックシートがテストに出ると分かっているのでそこを繰り返し書く生徒もいる。

毎週月曜日にチェックするが、簡単に見る程度でとどめています。

1日1ページ、1ページやるのに30分くらい、8〜9割がやってくる、ノート点1割くらい
このサイクルを続けています。

このノートの名前はマイトレと言い、毎日トレーニングの略だが最後にはマイトレジャーになるそうです。

利点としては生徒が英語を書くことに抵抗がなくなったという点があげられます。



続けて授業組み立て時に気をつけていることとして以下の例を紹介されていました。

ポールネイションと言う方がおっしゃるには、
・意味に焦点を当てたインプット
・意味に焦点を当てたアウトプット
・言語そのものに焦点を当てた学習者
・流暢さ

この4つをきちんと行うことだそうです。


音読はアウトプットに入るそうです。

流暢さとアウトプットが脱げがちなので、この部分を意識されています。

流暢さとはオーラルリテリングなどのことを指しているそうです。

自然と自分の言葉で伝えることを目指しています。



続けてクラスルームイングリッシュの利点を述べられました。

・教員側が一生懸命伝えることで、何とか伝わるんだという見本になる(ジェスチャーとか言い変えたりとか)

・繰り返すうちにだんだん彼らも分かるようになってくる

・英語で考える習慣がつく、日本語に置き換えなくなる(コミュニケーションとはそんなに時間がかかるものではない)

・生きた表現を学べる

クラスルームイングリッシュとは生徒の発話も含めてクラスルームイングリッシュである
3枚のプリントを配ってそれだけは学ばせる(ロッカーに行っていいですか?分かりませんなど) 。


さて、このクラスルームイングリッシュを行うコツとして以下のことを紹介されました。

・年度始めから行う

・利点と理由を伝えて納得させる

・まずはALTとのTTから始める

・パターン化する

・継続する、耐える




個人的にはそういうトイレとかロッカー行くとかは日本語でもいいのではないか・・・と思いました。

そんなことよりもっと英語を使う場面があるのではないか?と個人的には思いましたが、割とこういうことを英語でやり取りすることを大切に思う先生がいらっしゃるようです。



またどんなレベルの生徒でも実践可能だそうです。講師の先生の前任校は今の学校よりもかなり生活指導メインの学校でしたが、生徒は納得していたそうです。

学習指導要領に書いてあるから、法律のようなものだから、と言ったら納得したそうです。



コードスイッチングについてもおっしゃっていました。

英語でやっていたのに、一度日本語に戻すと英語に戻りにくい。

どうしても日本語を使う活動が必要なら、授業の最後に持ってくる(最後の10分)などとアドバイスされていました。



自分は割とこの部分に関しては自然と行えているのでイマイチ実感できませんが、ジャパニーズイングリッシュの先生だと確かに気まずいのかもしれませんね。




学校ではコンペティションとコーポレーションの両方が大切。

みんな勝ちたい、でも協力も必要。

勝つことへの欲求(前半の活動例)。



教科書を用いた内容理解の活動の際の注意点。
・読んだことや聞き取ったことを簡単にビジュアル化する
・全員に役割を与える
・ちょっとしたゲーム性を持たせる
・学校では1人ではできないことにチャレンジする

一般的に研究授業というとまとめの活動が多いと思います。

しかし毎日やるのが内容理解なので、上記のようなことを大切に授業を組み立てると良い。

前時のレビュー
前のパートの内容を発問→答えたら座れるというゲーム(グループ戦、4ポイントで座れる、難しい質問は2点など強弱をつける)
内容は語彙のクイズ、本文の理解など、答えるのは1人一回、その後はメンバーに伝える
ポイントの少ないチームはこの後の活動で多く当たる



リスニング→リーディングで表を埋めていく(グループワーク)
オーラルイントロで未知語が登場すると、知ってる?と先生が英語で問いかけた後に、日本語で言い換えていました。

まずは( )の中を教科書を読む前に予想する
例:( ) supply of vegetable

その後はリスニングをさせて、合っていたかどうかを確認(その単語が出てくるセンテンスのみを)

単語レベルからどんどん文レベルへと広げていく。

今回はリーディングという課題において、ハンドアウトを埋めながら答え合わせ、そしてライティングの課題へと進む。

ハンドアウトは英文で質問があり、英文で答えが書いてあり、その一部の空所を補充するものと、シンプルな英問英答が一問ありました。

ライティングの課題は、サマリーライティングという教員が作成したサマリー例の空所補充を行います。


生徒は各クラス24人でこの日は後ろにたくさんの教員がいたので、その人たちにインタビューを行うというタスクを実施。

その板ビューで聞き取ったことをループメンバーに伝えることでタスクは終了しました。

周りの人に自分の意見を伝え、相手の意見を聞く




全体的な授業の印象としては書く課題の多さです。

ハンドアウトに従って進みますが、もっと生徒とのインタラクションを通じて生き生きした授業を目指したらどうかなと思いました。

また単語やフレーズなど知識への重点がやはり気になりました。

訳読せず、英語で英語の授業を行うのに、随分と単語やフレーズを重点的に扱います。






高校三年生の授業例

前のパラグラフを英語でまとめる、その後ジグソーリーディングで本文を読ませていました。

個人でリテリングの練習を行った後にペアでのそれぞれのリテリングを聴きあう。その後2人で1つのリテリングを行うという方法を行っていて、これは初めて目にしましたが、もしかしたら面白いかもなぁと思いました。




最後にアクティブラーニングについて

アクティブラーニングとは能動的学習

アクティブラーニングとは態度の問題

アクティブ型とか、アクティブラーニングをやっているは変、アクティブラーニングを取り入れるも変

アクティブじゃない時があるの?と思ってしまう

グループ学習や体験学習でもない

自分がやることがアクティブラーニングである

台湾に海外研修に行かせた時にとても生徒がアクティブになった

海外研修で相手に自分の意見や気持ちが伝えきれなかったことで英語への動機が高まった



アクティブラーニングとは
・自分の頭を使って考える
・もっと知りたくなる
・そのために新しいことにチャレンジしたくなる
・そして生涯にわたって英語を学び生かしていきたくなる

これこそがアクティブラーニングなのでは?





全体を通じて思ったことを最後に書きたいと思います。

日本語を用いないで、和訳をしないで英語で英語の授業を実施していて素晴らしいと思いました。

しかしどの活動例も目新しいものはなく、自分からすると基礎的なよくある活動でした。

それどころかリテリングなどは単語やフレーズが多すぎて、あれでは教科書本文に縛られ過ぎるような実感をもちました。

また教員と生徒のインタラクションは少なく、ワークシートが非常に多く、同様に生徒の活動は非常に縛られるなと思いました。

そして教員の英語の運用力の問題もあるのかもしれませんが、もっともっとインプットを増やしてあげてもいいかなとも思いました。

クラスルームイングリッシュに関しても、結構時間を割いて説明されていましたが、Can I go to the locker?やMay I ask you a question?などをクラスルームイングリッシュと言うんだと正直少し驚きました。

自分の場合は、それ以外に生徒が授業中に英語を発話する機会が豊富にあるので、トイレに行っていいですか?などの質問は別に日本語で構わず行っているかもしれません。

そこら辺の受け取り方が若干講師の先生とは異なるなぁと思いました。

全体を通じて、活動の意義というのを一つ一つ検証し直すことがあっても良いかも、とも思いました。


英語で活動中心で、というところまで変革したことは素晴らしいですが、英語で授業を行うことが目的ではないはずです。

この段階まで進んだのであれば、もう一度一つ一つの活動の意義を考え、そのつながりを考え、そして改めて英語力をつけるとはどのようなことか、という原点に戻るとさらに良くなるのではないかと思いました。

そうすると、ノートに殴り書きでいいから、という宿題方法ももう少し修正されるだろうし、ハンドアウトの出題の仕方、内容理解の部分がもう少しレベルが上がる気がする気がします。



ということで、こちらが期待したような効果は得られませんでしたが、改めて一つの授業スタイルと受講生の先生方の驚く様子を見て、まだまだ英語の授業改革は始まったばかりなのだなぁと実感しました。
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by shun-sensei | 2016-09-17 16:04 | 英語教育 | Trackback | Comments(0)